子育て研究所

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Lesson 5-4 貢献感

 人間にとって、居場所があるというのはたいへん重要なことです。私がここで言う「居場所」というのは、空間的なものだけではないということは、賢明な読者の皆さんご想像の通りで、子育てにとっては心理的な居場所が重要になってきます。私には、僕には、心理的な居場所があるというのが「所属感」が満たされた状態ということになります。これは、子供に限らず、大人にとっても重要なことだと思いませんか? あなたは心理的な居場所がありますか?

 さて、所属感を満たすためにはどのようにすればいいかといいますと、どこかの集団に属せばいいということになります。あなたは働きに出て職場に属してもいいでしょうし、習い事のグループに属するのもいいでしょう。家族にも属しています。誰もが所属したいという本能をもっているのです。オリンピックやワールドカップではどの国を応援しますか? 日本を応援しますよね。全く知らない選手でも、日本の選手というだけで、日本を応援するのです。高校野球ではどこを応援しますか? 地元の代表校を応援しますよね。赤の他人でも、日本が金メダルを取れば嬉しいし、同じ日本でも、地元の活躍が嬉しいのです。それほど、私たちの心の底には所属感というものが根付いているのです。
 しかし、集団に属していれば、所属感が満たされるかと言えば、そうではないと思います。仕事仕事で、家庭内に居場所がないお父さんもいれば、外に出れば「○○さんの奥さん」とか、「○○ちゃんのお母さん」というような呼ばれ方しかされず、「いったい私は何なのよ」という気持ちのお母さんもいるかと思います。所属感を満たすのに、どこかの集団に所属するということは、必要条件ですが、十分条件ではないということになります。
 では、どうすれば所属感を得ることができるかといいますと、その集団に対して「貢献感」を持っているということが重要な鍵になってきます。所属していても貢献感がないというのは、とても辛いことです。とっても申し訳ない気持ちになるのです。暖かい集団ですと、その人が実際に貢献をしていなくても、構成員として受け入れてくれますが、それでも貢献感がないと何だか心にぽっかりと穴が開いた感じがするのです。さらに言えば、どれぐらい貢献しているか、貢献していないかに関わらず、「貢献感」がどれだけあるかがその人のパーソナリティの健全性に影響を与えるのです。
 子供がある程度の年齢になれば、その貢献感を育んであげるということがたいへん重要になってきます。お手伝いがしたいというのは、貢献感の表れかもしれません。それをかえって邪魔になるからと、否定することは教育上よくないと思います。逆に言えば、些細なことでも子供に頼んで、やってもらい、「ありがとう」とか「助かるわ」と声をかけることによって、貢献感を満たすことができますし、ひいては所属感を満たすことができるのです。

 ある人がこのように言いました。「人間の最も根本的な欲求は自由でありたいという気持ちじゃないかなぁ。しかし、君が言う所属感というのは、ある意味自由とは逆で、自由をを束縛するものじゃないか?」と。それに対して、あなたはどう感じますか? 確かにそう言われれば、そういう感じもしますね。
 しかし、私はこう思うのです。人間が自由でありたいと思うには、その根底にしっかりとした所属感がなければならないと思うのです。つまり、所属感が充分に満たされてはじめて自由を求める気持ちに向かうのではないかと思うのです。
 まず、産まれたばかりの赤ちゃんは必死にお母さんに所属しようとします。誰も教えていないのに、周囲の全てを惹きつける笑顔を持って産まれて来ます。笑うという行為は全ての生き物の中で、人間にしか許されていない特権であり、それほどまでに高度なことなのに、産まれて間もない赤ちゃんは教えてもらう前から、それを体得しているのです。それは、人間の赤ちゃんが他の動物の赤ちゃんに比べて、何よりも所属を求めているからだと思うのです。お母さんにしっかりと所属して、それをステップにして、お父さんに所属し、家族に所属する。その家族への所属感が充分に満たされ、自分は帰る場所があると確信できた子供が、少しずつ親の手の届かない所で遊びはじめ、次に親の姿が見えないところでも遊びはじめ、ついには親を卒業し、親といるよりも友達といる方がいいという子供に育っていくのだと専門家の間では言われています。それが通常の順序だと思います。逆に、所属感が満たされていないと、親のところを離れようとしません。離れてしまうのが怖いからです。逆説的ですが、子供に自立を促そうとするならば、離れろ、離れろと言うのではなく、あなたが帰る場所はここにあるからね、というメッセージを伝える方が良いのかもしれません。
 そういった意味でも、私は自由を求める欲求よりも、所属したいという欲求の方が強く、根源的なものだあると考えています。

 非常にアバウトな言い方をすれば、子供に勉強ばかりを強要するよりも、しっかりと手伝いをさせて、貢献感を持たせてあげる方が良いと思います。その方が勉強の能率も良くなるはずです。手伝いといっても、「あれして、これして」というものよりも、お風呂掃除とか、ゴミの日のゴミ出しとか、責任を与えるといったやり方の方がいいと思います。家族に所属しているのなら、家族の役割の一端を担うのが当然です。そして、お手伝いに対しては、感謝の気持ちを示しましょう。お駄賃をあげるのはあまりお薦めしません。それは所属感を育てることに?がりにくいからです。

 さて、3つお話しましたが、覚えていますか? 自己受容と社会への信頼感と貢献感ですね。この3つは密接に絡み合っています。まだ、お話したいことは残っていますが、多くを求めるよりも、最低でもこの3つが子供の中で育つように援助していくことを心がけていけば、あなたの子育てはワンランク上のものになるでしょう。これらを踏まえて、もう一度、後片付けをしないさとし君の事例(Lesson 1-4)を読み直していただければ、より理解が深まると思います。
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