子育て研究所

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Lesson 5-5 事例 運動会

 身内の子供に、小学校3年生の隼人君がいます。隼人君が家に遊びに来ている時に、もうすぐ行われる運動会の話になりました。子供たちがテレビを見たり、遊んだりしているそばで、大人が次のような会話をしています。
 「隼人君は勉強ができる方なんですって?」
 「そうらしいわね。習字もかなりの賞をもらって、前の日曜日には、表彰式にまで行って来たんだって。」
 と、そういう話を聞いて、隼人君もまんざらではないようで、機嫌よくしていました。
 「でもね、走るのはそんなに速くないのよ。まあ、真ん中ぐらいの順位にはなるんだけどね」と母親。
 「真ん中ぐらい走れれば充分よ。」
 「でも、もうちょっと速ければいいのにと思うのよ。だって、妹はたいてい1着でしょ。」と母親。

 その時、私も子供たちの近くにいたのですが、大人たちのそういった世間話が終わった頃に、隼人君が私の所へ来てこういいました。
 「ねえ、運動会見に来るの? .... 見に来なくてもいいよ」と隼人君は言うのです。
 どうも、隼人君は妹と比較されたり、自分がかけっこで上位にならない姿を見られるのが嫌なようです。
 「見に来て欲しくないの?」と私。
 「うん」
 「どうして?」
 「僕、そんなに速くないから。だから、見に来なくていい」と言うのです。
 自分は完璧でないといけないと思っているようで、子供なりにストレスがあるんだなぁと思いました。
 そこで、私はこのように声をかけました。
 「隼人君、みんなね、運動会を見に行くのはね、隼人君が1等賞になるのを見に行くんじゃないんだよ。隼人君が一生懸命に頑張る姿を見に行くんだよ。お母さんもそうよ」

 隼人君は少し楽になったような表情で、
 「そうなの?」と確認を求めてきました。
 私は隼人君に向かってうなずきました。
 「頑張りもしないで1等よりも、ビリでも一生懸命頑張る方がずっと素敵だよ」と。
 親や周囲の期待は時として、子供に余分なプレッシャーを与えているようです。そういった時こそ、この課で学んだ、自己受容感を子供に持ってもらいたいと思います。そして、そういった援助をしてあげたいと思います。「あなたはあなたのままでいい」と、子供に援助していきたいですね。