子育て研究所

躾(しつけ)、教育、育児に悩む親や教師のための学習サイト - 新しい子育て法を提案します

Lesson 6-3 ほめることについて 事例

 こんな話があります。ある会社の部長が企画を成功させました。みんなが「おめでとうございます」と拍手がおこって、いい雰囲気になっているところで、ある新入社員が「部長、えらいですね!」とほめました。その瞬間、部長の顔も曇り、周囲の空気もちょっとぎこちなくなりました。  教師のあなたが、生徒から、「先生、えらいですね」と言われるとどうでしょう。やっぱり、複雑な気持ちですよね。なぜだかわかりますか? 「えらい」という言葉はほめ言葉ですが、それは人を評価する言葉にであり、上の人が下の人に向かって評価する言葉だからです。その点、「おめでとうございます」という言葉は特に違和感がないですね。それは人を評価しているのではなく、成功したという事実に対して、喜びを示しているからではないでしょうか。決して悪いというつもりはありませんが、あなたが「えらいね」と子供に言うということは、子供を下に見ているということであり、前に述べた、対等な人間関係(横の関係)ではないということです。
 ここでは、今まで子供に対して、「えらいね」、「すごいね」という言葉でしか表現していなかったあなたに、ほめ言葉ではない、別のほめ方(?)を提案したいと思います。決して、「えらい」、「すごい」が悪いというわけではありません。何も表現しないことに比べたら、はるかにそちらの方がいいと思います。

 [ 事例 ]
 しんじ君がパパのお手伝いをしてくれました。あなたがママの立場として、しんじ君に何と声をかけますか?

 普通だと、「しん君、えらいね」、「さすが、しん君ね」、「すごいね、しん君」といったところではないでしょうか。これが決して悪いというわけではありませんが、これらは上から下に向かっての言葉だったり、子供を評価するだと思います。
 こういった場合、「しん君、ありがとう」とか、「しん君がお手伝いしてくれて、ママとっても嬉しいわ」というのはどうでしょうか。それは子供を評価する言葉ではありませんね。自分の感想を述べた言葉です。こういう言葉を「わたしメッセージ」とか「I(アイ)メッセージ」とか言い、最近子育て界でも言われるようになってきた言葉で、もしかしたらご存知の方もいらっしゃるかと思います。それに対して、「えらいね」という言葉は、「あなたメッセージ」と言われます。「ありがとう」はわたしはあなたに感謝しますというメッセージで、対等な関係からの言葉であり、最も美しい言葉のひとつですよね。
 さて、それらの言葉がけ、つまり、「ありがとう」とか「ママとっても嬉しいわ」を前のページの副作用で確認してみてください。そういった副作用がほとんどなくなっていますね。最初は、「えらいね」が口をついて出てくるかもしれませんが、意識的に「ありがとう」というような言葉に変えていくと、それが自然になってきます。そして、より感情も込められるようになりますので、最初はぎこちないかもしれませんが、トライしてみてください。あなたの言葉がけが上達するにつれ、子供との関係が横の関係になってきますし、横の関係ができるようになってくれば、そういった言葉も自然と出てくるようになります。何事も練習が必要です。