子育て研究所

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Lesson 7-1 子供は何から学ぶか

 子供を叱るのはお薦めしないと、Lesson 2 で述べました。多くの親や教師は、叱らずにしつけをすることは不可能だと感じているようです。Lesson 2 のあたりで挫折する人も、「叱るのは良くないといっても、悪いことをした時に叱らずに、どうやって教育、しつけをするんだ」という意見を持っているので、でもやっぱり叱ることも、体罰も必要だろうと考えるようです。ここでは、叱らずに教育し、しつけるということも可能であるということを示していきたいと思います。その手始めとして、子供はどういったことから学んでいくかについて、一緒に考えてみましょう。ここでは、3種類の学び方について解説します。

(1)言葉から学ぶ
 親や教師から、「○○しなさい」とか「○○してはいけません」というように、言葉を通じて学ぶ場合があります。似たようなことですから、文章を通して学ぶというのも、これに含むことにしましょう。あなたが今学んでいるのは、文章を通して学んでいますね。言葉によるコミュニケーションというのは、人間だけに与えられた特権であり、たいへん貴重なものです。

(2)モデルを見て学ぶ
 言葉以外にも、親の行動を見て育つということもあります。「子は親の鏡」と言われますし、「父親は背中で子を育てる」と言われます。(おんぶして育てるという意味ではありませんよ。念のため。) 保育園で、子供が悪い言葉を覚えて帰ってきたという話もよく聞きますが、それなども、モデルを見て学ぶことの影響の強さを物語っていると思います。また、「子は親の言う通りは育たない、親がやる通りに育つ」とはよく言われる言葉ですが、これも、言葉の影響よりもモデルを見て学ぶ影響の方が強いことを示していると思います。
 「子供が勉強が嫌いで、ちっとも勉強しないんですが、良い方法はないですか?」と尋ねられることがあります。「ないことはないんですが、やってみますか?」と言いますと、「教えてください、是非やりますから」ということになり、秘伝を教えるわけです。
 「では、お父さんも、お母さんも、勉強が大好きになってください。好んで読書をするようにし、お笑い番組よりも、教養番組を夫婦で楽しんで見るようにし、夫婦の会話も知的な会話、つまり、政治や教育のことなども夫婦で話したりするようにしてください」と提案します。だって、子供は大人の真似をするものですから、親がテレビといえばお笑い番組しか見ず、家にある本といったら週刊誌や漫画ばかりで、夫婦の会話は近所のうわさ話かワイドショー番組の内容ばかりだと、子供は何を真似するでしょうか。
 そうお答えしますと、「先生、それ以外のいいやり方はありませんか? それだったらやってみます」とさらに尋ねられたりします。
 残念ですが、私にはそれ以外の方法は思いつきません。最初から申し上げている通り、私がアドバイスする方法は、子供を自分の都合よく操る方法ではありません。あなたが変わった分だけ、子供も変わると思ってください。自分が無理なことを子供に要求するのは良くありませんね。子供を勉強好きにするのをあきらめるか、自分が勉強好きになったり、知的好奇心を持つようになるしか方法はありません。褒美で釣るのは良くないことはおわかりでしょうから。
 でも、心配いりませんよ。このホームページをここまで読んだあなたは、きっと勉強好きで、向上心がある人に違いないからです。それに、本来勉強は楽しいものです。知ることは楽しいことだと思います。子供がそれを実感できれば大丈夫だと思います。勉強が嫌いになるのは、勉強自体が面白くないのではなく、それに強制や評価が伴うからだと思います。
 「でも、私は毎日掃除をしたり、食器洗いをしているのに、子供は真似をしようとしません。真似をしてくれたら助かるのに....。」と思う人もいるでしょう。子供は親の行動は何でも真似するのではないのです。親が楽しそうにしていることを真似するのです。食器を面倒臭いと思って洗っていても、子供は真似しようとしません。お母さんが鼻歌混じりに、いかにも楽しそうに洗っていると、「私もする」といって、やろうとしますよ。後片付けも一緒です。最初にテーブルを片付ける事例を出しましたが、それも、一緒に片付けた後に、「部屋が広くなって気持ちいいね」というように、プラスの面を強調して、喜びを分かち合うと、子供はだんだんとやるようになりますよ。

(3)体験、経験を通して学ぶ
 子供も失敗したり、成功したりという試行錯誤の中から様々なことを学んでいきます。立てるようになるのも、歩けるようになるのも、自転車に乗れるようになるのも、何度も何度も失敗した中からできるようになっていくのです。私たちは、そういった経験の積み重ねによって、様々なことを身につけていきます。また、そういった技術的なことでなくても、アイロンは熱いとか、高いところから落ちると痛いといったことも経験から学んでいきます。
 叱ることについてお話した時に、関連することを申し上げたと思います。「弟を叩いちゃだめでしょ!」と言いながら、お兄ちゃんをピシャリと叩くという指導をしながら、「先生、家ではいつも口をすっぱくして、弟を叩いちゃいけないと教えているんですが、全く効果がないんです」というようなことをおっしゃるお母さんがいます。それは、言葉から学ぶことよりも、体験から学ぶことの方が強烈に影響を与えるということを知らないからです。言葉でいくら正しいことを主張しても、子供は、「叩かれて、言うことをきかされる」という経験をするので、弟に対して、自分の言うことをきかせるときも、お母さんがやったような、ピシャリと叩く方法を使うのです。それを子供のせいにするのは良くないと思いませんか?