子育て研究所

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Lesson 7-3 体罰から子供が学ぶこと

 ある父親の悩みです。2歳になる娘さんがたいへん暴力的で困っているとのことでした。公園やスーパーの子供の遊び場で遊んでいると、他の子の髪を引っ張ったり、叩いたり、上からのしかかったりして泣かせてしまうとのことでした。
 そのご両親は、娘さんが他の子の髪を引っ張った時には、それが悪いことを教えるために、親も同様に髪を引っ張って、その痛みを教えるという方法を取っていました。そういった方法で教育する親は決して珍しくありません。実際、教育の専門家でもない芸能人が、「うちはこんな風にきちんとしつけています」なんて、自信ありげに同様のやり方を話していることをテレビで見たことがあります。決して、専門家でない人の話が間違っていて、専門家の話が正しいというつもりはありませんが罪なことだと思います。

 子供が他の子の髪を引っ張った時、それが悪いことを教えるために、親が同様に髪を引っ張って教えるという方法ですが、その親はこう期待しているんですよね。

 子供が髪を引っ張るのは髪を引っ張れば痛いということを知らないからだ。
→だから、そうすれば痛いということを身をもって教えなければならない。
→痛いということを体験した子供は、自分が他の子の髪を引っ張れば痛いということを、人の身になって考えてくれるはずだ。
→他の子の髪を引っ張らなくなる。

 なるほど、論理的な筋道としては考えられないこともありませんね。
 考えてみてください。大人でも自分への物差しと、他人への物差しの基準がかけ離れている人が多いし、それにすら気づかない人も多いんですよ。だというのに、人生経験の少ない子供が、自分の痛みを他の子供の痛みに置き換えて考え、良心に従ってそういった行動をやめるようになるのでしょうか。子供を信じないわけではありませんが、かなり困難なことだと思います。

 子供は上記の体験を通して、むしろこう学ぶのではないでしょうか。
 親は髪を引っ張って叱る。私は弱く、親は強い。強い人は髪を引っ張っても叱られない。髪を引っ張ることで、人を支配することができる。暴力という力で、人を従えることができるんだ。他の子を従わせるには暴力は有効だ。

 さて、言葉で懇々と説教するのと、実際のモデルを見て、実際に髪を引っ張られる経験を通して学ぶこと、どちらの影響力が強いでしょうか。まだ、そのことには触れていませんでしたが、影響力の強さは次の順です。

体験、経験を通して学ぶ > モデルを見て学ぶ > 言葉から学ぶ

 上記の順は、詳しく説明するまでもなく、あなたも納得していただけるのではないかと思います。 「痛みを教えないと、痛みがわからない人間になる」ということがまことしやかに信じられていますが、本当にそうでしょうか。蟻をいじめている子供に、「そんなことしたら、蟻さんだって痛いんじゃないかな?」と(叱るのではなく)話しかけると、私の経験上たいていやめますよ。同じように、子供の首を引っ張ったことなど一度もありません。