子育て研究所

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Lesson 9-1 困った行動への対処法 (どんな時に困った行動をするか)

 子育ての質問で最も多いのが、困った行動への対処法です。叱るのはあまりお薦めしませんと書きましたので、余計にどのようにすればいいか戸惑いがあるかもしれません。この課ではそういった場合の対処法について考えていきます。そこで忘れて欲しくないのは、困った行動に対して、親や教師が行うべきことは、対症療法的な即効性のある対応と、ある程度の長期にわたっての根源療法的な対応の両方であるということです。

 対処法を考える前に、どういった場合に子供は困った行動をするかというのを考えてみましょう。
(1)その行動が困った行動であるということを知らない場合
 子供に悪気が全くなく、それが悪いと知らずにやっている場合もあります。
 庭で、子供が蟻に興味を持って、じっと眺めていました。そのうち、蟻をつつきはじめ、頭をもぎ取ってしまいました。「蟻さんも頭が取れると痛いと思うよ」と声をかけると、「あっ、そうか、蟻さんごめんなさい」と言いました。その子はその行動に対して、特に悪いと思わずにやっていたようです。
 そのように、悪意がない場合は、それを教えてあげれば問題は解決します。おわかりかと思いますが、「ダメよ」という注意だけでは不充分な場合もあります。そういった場合は、「こうしようね」という代替案を教えてあげるか、「どうしたらいいと思う?」と代替案を出させるところまで導いた方が良いでしょう。「ダメよ」だけでは、子供はどうしていいか分かっていない場合もあります。子供の目線で見てあげてください。

(2)その行動が良くないのは知っているが、代わりにどうすれば目的が達成できるのかを知らない場合
 上記のように、「ダメよ」だけでは、どうすればいいのかわからず、結局困った行動を続けることになる場合もあります。
 りゅうくんはいつもおもちゃを横取りして、保育園の先生に叱られます。その度ごとに先生は、「お友達のを勝手にとっちゃだめでしょう!」とりゅうくんを叱ります。でも、いっこうに行動は治まりません。あるベテランの先生が、「りゅうくん、他の子が遊んでるおもちゃで遊びたくなったら、お友達に「後で貸してね」って頼んでみようね」と助言を与えました。それから、りゅうくんはおもちゃを奪い取ることが少なくなったそうです。
 後から考えればわかることかもしれませんが、大人はたったこれぐらいのことに気づかないために、無駄に手を焼いている場合もあるということです。

(3)その行動が良くないことは知っていて、本来はどうすればいいかも知っているが、そうしても目的が達成できないと考えている場合
 自分の目標を達成するにあたって、自信がないと、このような手段に出る場合があります。テストで良い点を取るには、まじめに勉強しないといけないということがわかっていても、どうせ俺は勉強しても頭が悪いからダメだとあきらめて、カンニングペーパーを用意するといった場合は、これにあたります。そうした人にはどのような援助をしてあげれば良いでしょうか。考えてみてください。

(4)その困った行動で、親や教師や社会の関心を引くことが無意識的な目標になっている場合
 これは、(2)に含まれる内容だと考えることもできますが、こういった場合が多いので、別の項目にしてみました。
 いい子にしていてもママや先生の関心が得られないと思っている場合は手を焼かせることによって、注目や関心といったものを得ようとすることもよくあることです。好きな子に対して、わざと意地悪をして、注目してもらおうとするのは、注目されないよりも、悪い意味でも注目をしてもらった方が嬉しいからです。わざといたずらをして、先生の気を引こうとしている子供は、まさしくこのパターンです。また、下の子ができた時に、上の子が赤ちゃんがえりして、親の注目を得よう、関心を引こうとするのも、困った行動には入らないかもしれませんが、理屈的には同じことです。
 いじめで最もつらいのが、「無視」であると言われます。程度にもよりますが、虐待よりもひどいのが、育児放棄だとも言われます。「所属感」のお話の中で、所属の欲求が根源的な欲求のひとつであろうとお話しましたが、無視というのは、それを脅かすことなのです。ですから、子供としては、無視されるぐらいなら、叩かれても構わないから、親や教師の手を煩わせようとするのです。

(5)目的自体が間違いである場合
 勝つためには手段を選ばなくてもいいとか、苦労して政治家になったんだから、持てる権力を最大限に行使し、自分の利益を追求していこうといったように、その目的自体が適切でない場合もあるでしょう。

 全ての困った行動が上記の5つの中にきちんと納まるわけではありません。ボーダーライン上で、2箇所に当てはまりそうなものもあると思います。というのは、その行動が適切でないとはっきりとは認識していない場合もあるからです。良いとは思っていないが、悪いとも思っていないというような状況ではボーダーライン上になりそうです。


さて、少し練習をしてみましょう。次の行動は上記の(1)~(5)のどれに当てはまるでしょうか。
・3歳~小学校低学年の子が、わけもなく保育者を叩いてくる
・中学生が喫煙している
・子供がカーペットの上にこぼれたソースを拭こうとして、余計に汚れを拡げてしまった

 解答は示しませんので、各自で考えてみてください。