子育て研究所

躾(しつけ)、教育、育児に悩む親や教師のための学習サイト - 新しい子育て法を提案します

Lesson 1-2 事例1

 さて、あなたはどのように考えましたか?

 前頁の事例1は、子育て講座の中で偶然に出てきた話題です。多くのお母さんが「私も! 私も!」と口々に話し始めました。その時の模様をお話ししましょう。

 「そうよね。良くないと思いつつ、「早く!早く!」を連発してしまうわ」とか、「そんなの甘い甘い! 私なんか、布団を剥ぎ取ってやるんだから」とおっしゃる方もいらっしゃったりして....。多くの方が様々な意見にうなずいておられました。
 ひとしきり意見が出た後、私はこのようにお話しました。
 「変ですね。遅刻して困るのはお子さんでしょ? どうしてお母さんが困るんですか?」
 「でも、子供が遅刻して叱られると困るし....。」
 「お母さんは叱られないんでしょう? どうして、困るんですか?」
 「先生に与える印象も悪いし、きちんと学校に行かせるのは親の責任ですし、叱られると可哀想だし....。」
 「親の責任ですか? それは子供の責任じゃないですか?」
 「でも....。」
 「私は、本来子供の責任であり、子供にそれを解決する能力があるのに、それを親が肩代わりすることを「甘やかし」と呼んでいます。それは布団をはぎ取っても同じことですよ。」
 「では、どうしたらいいんですか?」

 その時、私と何度か教育について話をしたことのある方が発言しました。
 「子供に遅刻を経験してもらって、その体験から学ばせればいいんじゃないですか」
 「体験から学ぶ....。悪くはないと思いますが、それはちょっと冷たいような気がしますね。子供が失敗から学ぶことは大切なことですが、失敗すると分っていて助言を与えないのは、どうかと思います。次のようにしてみたらどうでしょうか」と、別のプランを提案しました。

 まず、子供に目覚まし時計を与えます。できれば、一緒に買い物に行って、子供が好きな目覚まし時計を買ってあげると良いでしょう。そして、目覚まし時計の使い方を教えて、明日からこの時計で起きるように話をするのです。その代わり、朝は一切「早く、起きなさい」という言葉を発しないようにするのです。
 最初からは、うまく行かないかもしれません。遅刻して、先生に叱られるかもしれません。でも、そのことから子供は学んでいくのです。力をつけていくのです。本来は、朝起きができなくて困るのは子供自身なのです。それをお母さんが代わりに困ってあげて、さらに子供が「責任」ということを学ばないでいたのです。
 子供を遅刻させることは辛いことかもしれませんし、可哀想なことかもしれません。でも、リスクを遠ざけ、親の指示がないと何も行動できない子にすることは、もっと可哀想なことだと思いませんか? 失敗させないことよりも、失敗しても、そこから様々なことを学んでいく子供の力を信じ、見守ることも愛情であると信じます。

 実際、その方法は効果があったようで、「何度か遅刻したが、その後、朝ひとりで起きるようになった」と、あるお母さんから報告を受けました。
 「よく辛抱されましたね(^^)」と労(ねぎら)うと、
 「ガミガミと言っていた時の方がよっぽど気楽だった。ギリギリの時間になっても、起きて来ないと、穏やかではいられなかった。私の方も、ちょっと親離れできた気がした。今まで、私が起こしてあげなければ、この子は起きられないと、子供の可能性を信頼していなかったように思う。でも、今では子供にガミガミ言うこともなく、自主的に起きるようになり、快適な朝を過ごしている。」と、心中を語ってくれました。
 その言葉を聞いて、私も幸せな気持ちになりました。